適応障害(うつ状態)
適応障害(てきおうしょうがい)とは、仕事や学校、私生活などの何らかのストレス要因や、環境の大きな変化にうまく対応しきれなくなり、その結果、心身の不調が現れ日常生活に支障をきたす状態のことです。気分の落ち込み、不安、意欲の低下などの心の不調、頭痛、消化器症状などの多彩な身体症状などが出ることがあります。ストレス要因が特定できて、そのストレスから離れると早期に回復することが多いのが特徴です。
ストレス要因から離れたり、休養をとる、気分転換をする、信頼できる家族や友人などに話をきいてもらう、などといった対処で回復することもあります。可能であればまずそういった手段を試みることをお勧めします。必ず医療機関での治療を要する訳ではありません。適応障害でもうつ状態(気分の落ち込み、意欲の低下など)などを呈することはありますが、イコール「うつ病」、ではありません。
ただし、状況が容易には改善しなかったり不調が長引く場合は受診をお勧めします。そのままの状態を放置しておくと、うつ病などの別のこころの病気に発展してしまうことはあります。だから私はよく「うつ病などのこころの病気の何歩か手前の状態」、と患者さんに説明しています。治療を行う場合は、休養や環境調整についての助言、呼吸法などのセルフリラクゼーションの紹介、などが主体ですが、一時的に薬を処方することもあります。しかしその場合も安易なベンゾジアゼピン系の抗不安薬の使用などには注意が必要です。