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神経発達症(発達障害)

神経発達症(発達障害)とは、先天的な脳の機能発達のアンバランスさにより、周囲とのコミュニケーションや、注意力、感覚の処理などに問題を抱えやすく、社会生活に困難が生じる状態の総称です。代表的なものに「自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害、ASD)」「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」などがあります。病気、というよりは持って生まれた特徴、個性に近い概念です。

自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害)

社会的、感情的交流が苦手だったり(相手の気持ちを想像することが不得手)、独特のこだわりが強い、同じ言動を反復して繰り返す、興味の幅が狭い、感覚異常(過敏だったり無関心だったり)、などが特徴として挙げられます。

注意欠陥多動性障害

不注意と落ち着かなさ・じっとしていられなさ(多動性)が二大特徴ですが、人によってよりどちらの傾向が問題になっているかには違いがあります。

学習障害

全般的な知的発達には遅れがないけれど、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」などの学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないしいくつかが大変困難な状態のことをいいます。

診断について

本来は生育歴(可能であれば家族などからも)や現在の生活でどのようなことに困っているかを詳細に聞き取り、必要に応じて知能検査や心理テストも数種類受けてもらい、多面的に判断する必要があります。
また、成人ではまず抑うつや不安などの不調で困って受診された方が、よくよく話を聞いていくと、根底に発達特性の問題を抱えていることが疑われる場合もしばしばあります。

治療について

先に述べたように、病気というよりも特性なので、症状をなくす、というよりは本人が自身の特徴、得意不得意を理解してうまくコントロールして付き合っていけるようになることがまず目標になります。家族や職場など周囲の理解やサポートも重要です。

ADHD(注意欠陥多動性障害)に関しては治療薬が複数ありますが、必ず服薬が必要な訳ではありません。生活での困り具合の程度や、服薬することのメリット・デメリットを相談した上で処方することもあります。その他の診断については、症状や特徴に特化した薬はありませんが、二次的に生じる落ち込みや不安焦燥などに対して補助的・対症療法的に安定剤をなど処方することもあります。

当院の医師は神経発達症の治療を専門とはしていないことと、小規模で行える心理検査も簡易的なものに限られることから、本当の意味での発達障害の確定診断は難しく、暫定診断(おそらくその可能性が高い)にとどまります。その限界をお伝えした上で、理解を深めていただくために、東京都発達障害者支援センター(おとなTOSCA)などの公的機関を紹介したり、当事者グループ、当事者が書いた書籍などをお勧めすることもあります(例えばハリウッドの映画スターのトム・クルーズが学習障害だったことを明らかにしているように、発達障害をカミングアウトして生活上の工夫などについて発信している有名人も結構います)。より正確な診断を求められる方には専門外来をご紹介しています(ただし成人の発達障害の専門外来は都内でも数が少ないため、予約までに時間を要することが多いのはご了承ください。)。

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