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不安障害(不安症)など

不安を感じること自体は必ずしもおかしくはありません(私達が心配事やストレスを抱えていれば、多少不安になるのはごく自然な反応です)。しかし過剰な不安や心配のせいで仕事や学業、日常生活に支障を来たすような場合は、不安障害(不安症)という診断として治療の適応となります。これはいわば幻覚などのような質の異常ではなく、程度が度を越している、ということです。

不安障害(不安症)は、その症状の出方や特徴でいくつかに分類されます。代表的なものとしては以下のようなものがあります。

パニック障害

急激に強い不安感や恐怖感に襲われ、しばらくすると治まるパニック発作が繰り返し起こることが特徴です。発作時は息苦しさや動悸を感じ、しばしば過呼吸を伴います。これ自体で命に関わることはありませんが、身体的な病気の可能性を除外しておくことは重要です。また発作を起こしたらどうしよう、という「予期不安」を伴い、時に後述の「広場恐怖」を合併していることもあります。

社交不安障害

人前で話すことや食事をすることなどに強い不安・緊張を感じる状態です。そういった状況に耐えるのに苦労したり、避けてしまうこともあります。

広場恐怖症

人混みや公共交通機関、すぐに逃げ出せない状況(美容院や映画館、MRI検査など)で強い不安を感じる状態です。そのような所に行くことを避けてしまうこともあります。

治療

治療としては、薬物療法、認知行動療法、セリフリラクゼーションなどを組み合わせることが多いです。薬物療法では、脳の神経のバランスを整え、持続的に不安を和らげるタイプの抗うつ薬を中心的に用い、必要に応じて一定の時間不安をやわらげる抗不安薬も併用することがあります。ただし後者、特にベンゾジアゼピン系の抗不安薬、は癖になるリスクもあるので、あまり安易に使い過ぎないよう注意が必要です。疾患によっては、不安階層表、暴露療法などの認知行動療法を用いて、苦手な状況に計画的に徐々に慣らしていく練習を勧めることもあります。また、即効性はありませんが、腹式呼吸法やストレッチ、ヨガ、マインドフルネス(簡易瞑想法)、などのセルフリラクゼーションを日常生活に取り入れることが有効なこともあります。

強迫性障害(強迫症)

かつては不安障害の一種と考えられていて、現在は別に分けられていますが、やはり不安を伴うことが多い近い疾患として、強迫性障害(強迫症)、という診断もあります。

強迫性障害は、強迫観念(不安や恐怖を引き起こす反復的な思考やイメージ)と強迫行為(その不安を減らすために行う反復的な行動や儀式)が特徴的です。具体的には、以下のような症状が見られます。

強迫観念

反復的で強迫的な思考やイメージが頭に浮かび、不安や恐怖を引き起こします。不合理だと分かっていても考えずにはいられません。不合理だという自覚がなくなり妄想に近いぐらい確信している場合もあります。(例: 手が汚れているのではないか、鍵をかけ忘れたのではないか、悪いことが起きるのではないか、など)

強迫行為

強迫観念に伴い、不安を和らげたり、予期される不安な状況を防ぐために何度も行動や儀式を繰り返してしまいなかなか止められません。(例: 手を何度も洗う、ドアの鍵を何度も確認する、特定の順序で物を並べる、など)

強迫観念や強迫行為に時間やエネルギーを割かれてしまうため、仕事や学業、日常生活に支障をきたすことがあります。また、家族が本人の強迫行為に巻き込まれてしまっていることも時にあります。

治療

治療法としては、認知行動療法の考え方を用いて不安階層表を作成し、曝露反応妨害法という方法で、強迫観念を引き起こす状況に徐々に慣らし、強迫行為をしなくても時間と共に不安が減っていくことを体験してもらうことで症状の軽減を目指します。薬物療法としては、不安障害と同様に持続的に不安を和らげるタイプの抗うつ薬を中心的に用います。強迫性障害の不安をやわらげるために抗不安薬を補助的に用いることは、効果が一時的なことと、特にベンゾジアゼピン系の抗不安薬は依存性のリスクもあることから、あまり推奨されていません。

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